中堅芸人のテレビ局への逆襲

https://www.cyzo.com/2019/04/post_199079_entry_4.html

吉本興業のタレントをどの局をつけても見ない日はない。そういう状態は10年以上前からあったがNHKだけは例外だった。確かに大御所のタレントは漫才をしていたが若手の勢いのあるタレントを見ることはまれであった。それは吉本はビジネスライクだから、NHKのようにギャラの低い番組に出すより民放に出した方がよいに決まっている。しかしこの数年で様相が一変した。民放のゴールデンタイムに看板番組を抱えているタレントや中クラスも頻繁に見るようになった。ここに吉本が民放だけでなくNHKにも本格的に乗り出したのが見て取れる。その意図は?

年輩の方などNHKの天気予報は民放より正確だという人もいる。未だにNHKは神通力があり、だからこそ出演者にも箔ををつけてくれる。それゆえ、イベントを主催する側にとってはNHKに出演したという経歴は、選考の際の大きな後押しになる。そして吉本にとってタレントで飽和状態になったテレビとは別の稼ぎ柱を得ることが出来る。双方にとってウィンウィンなのだ。

かつて、芸人にとってテレビタレントが目標であった頃は、舞台というのはあくまで踏み台であり、かつては一線級であったタレントが舞台に戻ると都落ちという感じすらした。
しかし、若手芸人の意識は変わりつつある。雛壇タレントになり大御所タレント達に追従笑いを続け、彼らの寵愛を受けることは目標足り得ないだろう。それはある種の幇間芸人といって良い。それ自体は否定しないが矜持を持てないだろう。そして金銭的にもテレビの魅力は薄れつつある。テレビの広告収入は先細るばかりだなのだから、一山いくらの雛壇タレントには雀の涙しか入ってこないだろう。
もうテレビというのは、芸人にとって選択肢の一つでしかなりつつあるしYOUTUBEで自分メディアをもてる今、テレビが逆に見捨てられ側に立つのもそう遠くはないであろう。

そういう動向に先手を打ち投資していく吉本興業というのは、かつてのテレビ局下請けの一介の芸能プロダクションからテレビ界を越えたエンターテイメント産業に成長したということを思い知らされる。