エスカレーターは危険地帯

エスカレーターで昇りと降りが交差しているビルがある、そこでの話。
自分は降りで、対向の昇りは二人おり女性が前で男性が後ろだった。その時とんでもない光景を目撃した。なんと後ろの男が女性の背後にかがみ込んで携帯を差し出していたのだ。余りに唐突だったので声すら出せなかった。

 

エスカレーターでは自分も被害らしきことにあったことがある。リュックを背負って、その後ろポケットに財布を入れていた。よくありがちだがチャクは締めておらず財布はむき出しに見えていたはずだ。

降下中に背後でばさりと音がして重みを感じた。そしてリュックにチェーンでつながれた財布がブランブランと垂れ下がっていた。背後を振り返ると、混雑はしており真後ろに男が一人立っていたが、平然としている。おそらく手すりにリュックがぶつかり何かの拍子に財布がこぼれ落ちたのではと、その時には自分で納得づけた。

しかし、今にして思えばポケットは深いので、その可能性はほとんどないからスリの未遂だったのだろう。それにしてもあの動じぬ態度は常習犯のそれのように感じる。向かいには監視カメラも設置されていたのだから警備室に駆け込むべきだった。

 

閑話休題

 

正月に初老の男がエスカレーターに乗っていた。なにやら様子が変だ。屈みながら階段の谷間をのぞき込んでいるのだ。動いている最中なので相当危険だ。近づいてみると赤ら顔で酒臭いので理由は分かったのだが、そこしかなかったのだろうか。